今夜、上司と恋します
*
……ああ。泣いちゃったな。
もう佐久間さんの事で泣きたくなかったのに。
私は溜め息をつくと、手の平にあるネックレスに視線を落とす。
こんな素敵なプレゼント、捨てる事なんて出来ない。
だけど、身に着ける事も出来ない。
私が着けるべきモノではない。
……私には相応しくないよ。
これを買ったのは永戸さんに告白される前だったんだろうな。
オープン成功したらって言ってたし。
きっと、佐久間さん自身も捨てる事が出来なかったんだろう。
でも、持ってて永戸さんに誤解されたら困るしね。
我ながら卑屈だと思った。
佐久間さんは本当に素直に“お祝い”としてプレゼントを渡そうと思ったかもしれない。
でも、このプレゼントは今の私には全然違った意味に取れる。
佐久間さんの本心なんてわからないけど。
それでも、このプレゼントは嬉しかった。
最初は驚いたし、信じられなかったけど。
それに渡されたモノがこれじゃなければ、もっと卑屈な考えを持ってたかもしれない。