今夜、上司と恋します
私は佐久間さんと一緒にいると、自分の気持ちを嫌でも自覚しなきゃならない。
こんなにも好きなんだと再確認する。
会わなければ平気なのに、顔を見た瞬間に気持ちが溢れて止まらない。
誤魔化す事なんて出来ない。
顔を見てないけど、私の言葉に佐久間さんが息を呑んだのがわかる。
「……放っておいて、下さい」
「……」
「……私の事を少しでも想ってくれてるのなら、放っておいて下さい。お願いします」
最後の方は涙で掠れて、言葉になってなかったけど。
「……」
暫く黙っていた佐久間さんは、スッと掴んでいた手を離す。
それから一言。
「……わかった」
そう告げると、踵を返して歩き出した。
涙で視界が歪む。
佐久間さんの後ろ姿が見えない。