今夜、上司と恋します
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あれから私と美沙都は夜通し話をしていた。
涼君の話も聞いたし、昔の私の元彼の話をして笑ったりもした。
もう、それらは笑える過去の話だから。
月曜になったら、私は伝えるよ。
佐久間さん。
それで振られたって、後悔しない。
しないから。
月曜になるといつもより早めに出社した。
永戸さんに会う為に。
私が早くに会社に来ていた時、いつもこのぐらいだと永戸さんは言っていた。
だから、それを狙った。
早めに到着した私は自分の机に向かうと、椅子に座る。
それから、ポケットに手を突っ込むとあのネックレスを取り出した。
ぎゅうっと握り締めた時に、カンカンっとヒールの音が響いてハッとした。
来た。きっと永戸さんだ。
入口をじっと見つめていると、永戸さんが現れる。
永戸さんは自分を見てる私に気付くと、目を見開いていた。
「おはようございます、永戸さん」
「……おはようございます」