今夜、上司と恋します
「性別的にはってのは、……妹から貰ったんだよ」
「え?妹さん?」
「そうだ」
「そうだったんですか」
ヤキモチとか妬いた自分が少し恥ずかしい。
私は肩を竦めて小さくなる。
だけど、小さくなりながらも口を尖らせて私はぼそっと言った。
「で、でも。永戸さんに告白されましたよね」
「ああ。あれ、聞いてたのか…」
だって、あれで私は佐久間さんと永戸さんが付き合ったんだって思ったんだ。
「それに、こないだ泣いてた永戸さんを抱き締めてました」
「……俺の永戸への返事は聞いてないのか?」
「聞いてません」
「その告白の時に俺には好きな女がいるからって断っている」
「え」
「それに、永戸が泣いていたのはもう仕事を辞めたいって言ったからだ」
「ええ」
「俺と一緒にいるのが辛いと。だから、話をしようと連れて行った。
部長も交えてな。後は部長に任せたんだよ」
「……」
だから、あの日。
佐久間さんは永戸さんと一緒に会社を出てなかったんだ。
何だ。全て私の勘違いだ。
いやでも小さくなってたのに、私は居た堪れなくて更に縮こまった。