今夜、上司と恋します
「……あのな、言っておくが」
そんな私に、佐久間さんははあって溜め息をつくと話し出した。
「俺は広瀬と仲良くしてるとこを見て色々思っていたんだ」
「……色々って」
「広瀬と一緒に飲みに行くと知って、邪魔する電話をかけてしまうほどにな。
……嫉妬して情けない」
「嘘」
あの時の電話はそんな意図があったんだ。
佐久間さんは顔を顰めるけど、私は嬉しさで頬が緩む。
「それに、俺の好きな人の話になった時に坂本は俺にハッキリとそういう人はいないと言った」
「……言いましたね」
「俺の事眼中にないって思うだろ?」
「……それは、思いますね」
自分の発言だというのに、なんて事を言ってしまったんだと今更ながら後悔。
そりゃ、そうだろうな。
「俺をどう思ってたって別に構わなかった。
俺は坂本を好きで、好きな女を抱けるんだから。
だから、坂本さえ許してくれるのなら関係を続けるつもりだった」
「……」
なのに、私は勝手に勘違いして佐久間さんと関係を終わらせた。