今夜、上司と恋します
【佐久間目線ど短編】
「……もう、飽きたんです」
そう彼女に言われた時、死刑を宣告されたのかと思った。
それか、末期だと告げられた癌患者か。
涙を、流す事もないのか。
俺にそう告げるのは、きっと彼女にとったら他愛もない事。
言葉通り、俺に“飽きた”のだろう。
何が、どこが、どうして。
そんな事はみっともなくて聞けなかった。
元々恋愛対象ではなかったんだ。
それが終わっただけの事。
彼女には何の罪もない。
俺が彼女を好きだから、体を求めただけだった。
それに、付き合ってくれていただけ。
「……坂本、悪かったな」
こんな事を言わせてしまったんだ。
きっと、優しい彼女の事だ。多少なりとも苦しんだ筈。