今夜、上司と恋します
*
「……」
「……」
特に会話する事なく、駐車場まで来ると佐久間さんは運転席に向かった。
助手席に乗り込んで、シートベルトをしてからちらっと佐久間さんの事を盗み見る。
何で急に私なんだろう。
今日行くエスレールは、今エリアを拡大しているショッピングモールだ。
そこへの出店の契約を取り付けたのは聞いていた。
地方にあるショッピングモールにうちのブランドがオープンするのは、来月の予定。
ノベルティや、限定商品の手筈も順調だし、雑誌などで宣伝もしていた。
その話なのだろうか。
少しだけ首を捻りながら、前を向くと佐久間さんが口を開いた。