今夜、上司と恋します



「……君は何か勘違いをしているようだが。
私と永戸君は仕事で来ていたんだ。それが彼女に変わっただけの話だ。
そんなクダラナイ事を言ってないで、そのぐちゃぐちゃのままの洋服を畳んだらどうだ」

「っ、はーい!すみませんでしたー」


本当に反省してるのかわからない、間延びした言い方。
だけど、そそくさとこの場を立ち去って洋服を畳みに行った。



「…すみません、あの子いつもああなんです。何度も注意してるんですが」



フォローする様に店長が口を開く。



「顧客からクレームが来なければいい。
だが、見た目が悪いわけじゃない。
看板店員になる素質もありそうだ。
ただ、あれじゃ永戸の真似。それを失くす様に。
それを失くせたらプレスに推してもいい」

「…はい!」

「雑誌に出た店員を見ただけで騒ぐ若者も多いからな」



至って冷静な佐久間さん。
さらりと交わしてしまうんだな。



その店を後にして、佐久間さんと並んで歩いていると徐に佐久間さんが口を開いた。
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