今夜、上司と恋します


「さっきのは気にするな」

「え?」



さっきの?って何だろう。
考えてみるけど、パッと出て来ない。



「永戸との事だ。ああやって騒がれる事は何度もあった。
だから、俺自身は気にしていないが…坂本にとったら気分が良いものではないだろう」

「いや、あの、全然。気にしてません」



実際、私の目から見ても綺麗な永戸さんと佐久間さんはお似合いだと思う。
美男美女って感じ。


まあ、少しだけ永戸さんが若い気もしなくはないが。
あれぐらいの年齢差、別段おかしくもない。



「…俺としては気にして欲しいところだが」

「え?」

「いや、何でもない。今日はもう終わりだ。お腹空いただろう。奢るからどこかで食べて行こうか」

「えっ、そんな大丈夫です」

「いいから。行くぞ」

「……はい」



そう言って、先に歩く佐久間さんの後ろを私は慌てて付いて行った。

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