今夜、上司と恋します
だけど、やっぱり先に起きたのは佐久間さんだった。
「…坂本、坂本」
揺り動かされながら、佐久間さんが私の名前を呼ぶ。
ううんと、声を出しながらうっすらと目を開ける。
そこには眉を顰めた佐久間さんの顔があった。
「おはよう。一度家に帰るだろ?送る」
「おはようございます。……って、え?送る?」
「ああ。今日は車で来てるしな」
「今何時ですか」
「朝の五時だ」
「早くて驚きです。助かります。お願いします」
私は即答すると、頭を下げる。
メイクもしてないし、昨日の格好のままだし。
このまま会社に行くのは無理だ。
てか、二人して昨日と同じ格好とか。
あれよね。
もう、そんな関係ですって誇示してる様なモノだ。
無理に決まってる。
「それじゃ、顔だけ洗って来い。ヨダレ垂れてる」
「……っ!!!」
慌てて口元を拭うと、佐久間さんはおかしそうに笑った。