今夜、上司と恋します

「ありがとうございました」

「いや。それじゃあ、また会社で」

「はい」



佐久間さんがいなくなるまで見送ると、私は自分の部屋へと入った。
それから、着替えてメイクをして、軽くご飯を食べたらすぐに出勤だ。


今日は香水も付けておこう。


一応、同じホテルに泊まったんだ。
もしかしたら同じシャンプーの香りがするかもしれない。

流石にもう一度風呂に入る時間はない。


気にし過ぎかもしれないけど、女ってのは結構目ざとい。
気付いていないようで、気付いている。


会社の女の子達と食事をしたりしてると、それがよくわかる。



私はそれにいつも相槌を打つだけ。
面倒だから、巻き込まれたくない。


修羅場体験は自分だけで手一杯だ。


準備をして、会社に到着すると自然と佐久間さんの姿を探している自分がいた。


どうやらいないらしい。
まだ来ていないのか、それともどこかへ行ってるのか。
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