今夜、上司と恋します
はあって小さく溜め息を吐く。
すると。
「おはよー。って、朝から溜め息とか辛気臭いな」
「……広瀬」
肩をポンポンって軽く叩きながら、広瀬はしかめっ面をしている。
私も別に溜め息を吐きたいわけじゃないけど。
それに、なんで佐久間さん探してるんだろ。
好きな人いるってわかった途端、意識してるとか恥ずかし過ぎる。
バカみたい。
「どうだった?昨日は」
「え?あ。うん。結構いっぱいいっぱいだった」
「だろうな。最初だけだよ。慣れる。それにお前なら出来るよ」
「……うん、ありがとう」
「やけに素直だな。気持ち悪」
「……人が素直に言ったのに、それはないでしょ」
広瀬はいつもこうだ。
ちょっと不安に思ってたから、そう言われて嬉しかったのに。
もうお礼なんてしてやらん。
「嘘だよ、怒ると眉間に皺寄ってババアになるぞ」
「広瀬はうるさい」
「あはは」
腕を組みながらむくれると、広瀬は更に笑い声を上げた。
顔を背けた私の目に映ったのは、佐久間さん。――――と、永戸さん。