今夜、上司と恋します
「佐久間さんっ?」
動揺で少しだけ声が震えた。
すぐに顔を上げようとするけど、それは耳元で発せられた言葉によってストップした。
「坂本は他の男の時もそうなのか?」
「……」
「少しだけ妬けるな」
そう言うと、腕を掴んだ手とは反対の手で私の顎に手を置く。
それをくいっと上に持ち上げる。
絡んだ私と佐久間さんの視線。
近付く顔。
自然と目を閉じる。
―――――――そのキスはタバコの味がした。