今夜、上司と恋します
朝礼の後、各々が業務につく。
えっと。発注の確認と、雑誌の打ち合わせと。
今日やる事を一つずつ確認していた時だった。
「坂本」
そう佐久間さんに声をかけられた。
「はい」
「今日、新店舗に一緒について来てくれ」
「え」
「内装のチェックをしたいんだ」
「……はい。でも、13時から長沢さんと一緒にNOISEの打ち合わせがあって」
「おい、長沢。NOISEとの打ち合わせお前だけで行ってくれるか」
呼ばれた長沢さんは、頷きながら答えた。
「了解です」
「その時間、坂本と新店舗行って来る。よろしく頼む」
「はい、わかりました」
長沢さんは返事をすると、自分の作業に戻った。
驚いてるのは私だけ。
「10時にここを出発するから、そのつもりでいてくれ」
「……はい」
それだけ言うと、佐久間さんは踵を返す。
その後ろ姿を私は暫く見つめていた。