レゾンデートル 【短編】僕止めスピンオフ・2
裕が自分の戸籍を見て自分の親が義理の両親だと知って以来、我々とあまり会わなくなった。自分の学力で国立の医学部を狙うには、高1から死にものぐるいで勉強しなければ実現しないと、裕も私も思ってはいたが、それにしても、接触を避けているかと思うほど、裕は隆とも私ともほとんど逢わなくなった。その理由は私にはほぼ想像はついたけれど。
会えなくなってからの、裕が原因の誰にも言えない小島隆の悩みのハケ口は、マズいことに医者から禁止されていた飲酒の再開となって現れた。ある日の真夜中、酔っ払って意識がぶっ飛んだ隆から掛かってきた電話をキッカケに、酒をやめろ、やめない、というケンカ話の行きがかりというかもののはずみで彼の家に私が押しかけ、泥酔した隆に殴られながら犯された。残酷な形で願いは叶い、私は辞めたはずの酒を飲み始めてしまった隆のことを思うと、初めて抱かれたことなんかどうでもいいほど悲しくて死にそうになった。
だがそれ以来、付き合うとも言わないのに隆は酔うとうちのマンションに押しかけ、私をことあるごとに殴って犯すようになった。酒をやめろと言っても一切聞かず、怒って更に殴る蹴るの暴力が待っていた。ドSのセックスで傷だらけになって、そのアザも取れないうちに数日経ってまた殴られて犯された。それはただの八つ当たりにしか思えなかった。ある時、これを裕にもやっていたのかと聞くと、そうだ、と答えた。私はそこで初めて隆を殴った。もちろん平手だけど。