レゾンデートル 【短編】僕止めスピンオフ・2
殴った10倍返しでまた殴られて、また犯されたが、小島隆は私を犯しながら泣いた。ずっとそれを後悔してたんだろうと、その時思った。いや、それだけじゃない。全て…裕と過ごした時間のほとんどすべてを隆は後悔していた。どの時間を、日々を取り出して見せても、無理矢理犯し、無理矢理付き合わせ、無理矢理私に抱かせ、無理矢理心中未遂し、挙句の果てに無理矢理戸籍を確認させて、無理矢理自分の出自を見せつけられた…残酷な無理矢理の年月しか俺は裕に与えてこなかった、と。
私を犯しながら、隆はそんなことを言った。犯されながら私はそれにこう答えた。それでもいいじゃないか、と。裕は君のこと、感謝してる。あの子はバカじゃないし、ただ小島君の言いなりだったわけでもない。裕はいつも私が言うように、君を追い詰めたのは自分だって、今でも頑なに思ってる。だから今はそっとしておいてあげてくれ、と。それより酒をやめろ。君が壊れたら、裕も壊れるから…それ以外に私に何が言えるだろう。無理矢理の片棒を担いだこの私が。
その日から、隆は酒を飲むのをやめた。私は飲みたくなったら止めてやるからうちに来い、と言った。言ってはみたものの、それではいはいと言って来るような気さくなヤツなどではないとわかっていたし、そう思って期待など全くしないでいた。しかし現実は裏腹なもので、なぜか小島隆はシラフでもフラッと私の部屋にやってくるようになった。隆は酒も飲まず殴りもせずに私を抱いた。殴らなくても勃つんだ、と嫌味を言ったら、私を小馬鹿にした顔で、自分が相手の歳に関係なく勃つのを確かめてるんだと返してきた。
でもそれでいいと、私は思った。それは悲しいセックスじゃなかったから。