恋愛上手になるためのルール
私の、長い長い沈黙に、キャメロンは、驚いたのか、狼狽し始めた。



「え、あ、いや、みやさんのことは好きだよ、ただ、今は誰にも縛られたくないだけで、おろおろ」



ヒラメのような冷たい目で、私はキャメロンを射抜いた。



「あ、そ、分かったわ。じゃあ帰るんで」



立ち上がって、私は、すたすたと歩き始めた。


あわてて付いてきたキャメロンは、キッチンのテープルにあったりんごを私に渡した。




「こ、これ、持ってかえって」




断るのも面倒だったので、手にとって、心のこもらないお礼を言った。



「あ、また、会えるのかな?」


焦った顔で、私に聞く、キャメロン。



「運が良かったらね」


それだけ言って、私はキャメロンの家を出て、自分の車に乗り込んだ。
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