恋愛上手になるためのルール
「え、ディラン、どうして家の前にいるの!?」


びっくりして、駆け寄った私は、黙って背の高いディランを見上げた。



「会いたくなったからだよ、みや」



ディランの顔が、電灯の暖かい光で照らされている。切なげな瞳は、少し潤んでいて、憂いを帯びた眼差しを私に向けた。



「会いたくなったって、なんだか、それじゃ、私のこと、好きみたいだよ」


さっきまで泣いていたことがばれたらどうしようかと焦ったけど、夜でよかった。



「好きじゃないって言ったこと、ないんじゃない?」


ディランは首を無理な角度に傾けて、私の肩に手をかけた。



同時に、なつかしい、ディランの香りが、私のこころを、まだディランと付き合っていた頃に戻した。
< 64 / 132 >

この作品をシェア

pagetop