AM5:00〜8年越しの約束〜
8年前の今日も時間は違えど、今と同じ少し肌寒かった。
8年前と違うのは俺が走って息切れしてこの場に着いたこと。
『こんなとこに景色が一望できる公園なんてあったんだね!
ねぇ、功ちゃん、ここあたしたちの秘密基地にしようよ!』
そういえばここは優が見つけたんだよな…。
ここを初めて見つけた時のことを思い出しながら息を整えながら、背中を向けている優にゆっくりと近づく。
ずっと思っていたことがある。
俺は優に再会したらどういう反応をして、一言目は何を発するのか。
そもそも言葉など出てくるのか。
この8年間そうずっと考えていた。
しかし、そんなこと考えていたのが嘘だったかのように、口は自然に動いていた。
「優…久しぶり」
俺の声に反応して振り返った彼女は
「本当に来てくれた…」
驚いた顔をした後、一瞬にして泣きそうな顔になった。
「約束は……ちゃんと守らないとな」
「功…ちゃん…」
さっきまで泣きそうになっていた優。
そんな彼女と向き合った瞬間、彼女は次々と大粒の涙を溢す。
「泣きすぎ」
ポケットからハンカチを取り出すと、優に差し出すと、
「ほら、これで拭きな」
「…ありがとう」
ハンカチを受け取るのに一瞬戸惑いを見せたが、優は受け取り、涙を拭いた。