ＢLACK＠ＨEART

目を覚まし､空が下へ降りると､
朱鳥の姿しか見当たらない｡

ちょうど買い物の時間であり,
今日は学園の生徒達も一緒に
行ったのだろう｡

そう､勝手に考えていると朱鳥
と目が合ってしまった｡

「あっ,あの迷惑かけるかも､
知れないけど,よろし…」

「本当,迷惑だな」朱鳥の言葉
を遮って,空は噛みついた｡

「えっ…でも…皆と仲良くなり
たいし,皆の事知りたい｡」朱鳥
は言った｡空の表情は変わらず,
遠くを睨みつけているだけ…

「アンタに俺の何が分かる…？
そんなに知りたいかよ…」空は
皮肉っぽく笑うと､コンタクト
レンズを外した｡

静かに冷たく朱鳥を睨みつける
左眼の色は茶色のレンズの下に
深い青が潜んでいた｡

「この眼を見るだけで,誰もが
黒崎剣護の名を口にする…

奴と同じ青い瞳を持つのだから
何かするかも知れない｡殺人を
犯すかも知れないってな｡

普通に生きてるだけで嫌われ,
避けられる｡こんな苦しみ……
分かる訳ねぇだろ…？」空は
コンタクトをつけ直し,ため息
をついた｡

「アンタの些細な言葉が相手を
傷つける時だってある……

自分の親の事も分からなかった
アンタに,そんな事……
言われたくないわ」