BLACK@HEART
空が実の母の姿を見たのは、写真
の中だけでしか無かった。

肌身離さず着けているロケット
の中には母と悠護、剣護、紳吾が
写っている。

幼馴染みであった4人。
4人は兄貴分である愁護を慕い、
憧れを抱いていた。

愁護は成績も優秀で、スポーツ
も得意。彼は優しく、強かった。

同級生であり、親友だった朱慈は
彼を尊敬していた。

しかし彼は殺人鬼となった。

『……苦しむ姿を見るのなら、
いっそ殺してしまえばいい』
愁護はいつか朱慈にそう言った。

何が正義なのだろう。

朱慈にも空にも……
誰にもそれは分からなかった。



学園の門まで来た空だったが、
入るに入れず、門の前で座り
込んでしまった。

「何やっとんねん」コツンと
頭を小突かれ、見れば陸と海の
姿があった。

空とは長い付き合いだ。
考えていることなんて、2人には
お見通しだった。

「風邪引くで?」海は言い、空の
髪をグシャグシャにした。

空は鼻の頭を擦って、笑った。

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