BLACK@HEART
「ちょっと,待って下さい。
確か、こっちのカバンに……」

朱鳥は少し大きめなカバンの方
を探す為,再び座り込んだ。

「サンキュー!」サッ、と朱鳥
の脇からカバンが消え,男の脇
に抱えられた。カバンと男は
朱鳥から離れ,男はバイクの
後ろに乗り込んだ。

「…えっ?えぇっ!」驚く間も
なく,男は去っていく……

「…財布と携帯、あのバックの
中じゃん!」奪われたバックの
重大さに気づき,慌てて朱鳥は
バイクを追いかけた。

どれくらい走ったのだろう。

どんなに走ってもバイクに
追いつくことは出来ず,朱鳥
は再び道端に座り込んだ。

「もう最悪……」どんなに目を
細めて見ても,バイクの姿は
見えなくなっていた。

朱鳥の目に映るのは小柄な少年
で,ニット帽を被っていて,手に
は白い小さなバックを持って
いる。

大きなリボンのついたバックは
明らかに少年には不釣り合いで
何だか可笑しい。
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