BLACK@HEART
「ほら、優菜。朱鳥さんに部屋を
案内して」そう竜崎が言った
瞬間,朱鳥の肩にかかっていた
カバンが音を発てて,床に叩き
つけられた。

カバンの付け根が重さに耐え
切れず,破れたのである。

「えっ……!」朱鳥は驚いて、
しばらく動きが止まった。それ
は優菜も一緒だった。

陸と海は面白いというように,
笑いを堪えている。

「空の奴……何やなぁ?」海は
言う。2人の中じゃ,カバンが
切れた理由が分かっているよう
である。

「アイツの悪戯やから。そんな
深い意味は無いで」朱鳥の肩を
叩き,陸は言った。



「空,入るでー」空の部屋の
ドアを叩いた上で、海はドアを
開けた。

「……何?」空はベッドの上で
寝転びながら,漫画を読んで
いた。陸はその場に座り,海は
ベッドに座った。

「あの人,メッチャ驚いてた
みたいやで?」海は空の棚から
適当に漫画を選び,空に言った。
空はふと笑い、漫画を読むのを
止めた。

「陸兄も気づいてたんやろ?
言ってやれば良いのに」玩具を
与えられた子供のように,空は
楽しそうに笑っている。
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