Dear...
「長くて真っ黒で、綺麗な髪だねぇ」


私の髪の毛を乾かしながら、そう言って時々頭を撫でるおばあちゃん。


大人になって、髪の毛を乾かしてもらうなんて。

まるで、子供の頃に戻った気分。


私に触れるおばあちゃんの手の温もりは、ひどく心地いい。


「私、染めた事ないんだ」

「ほうか、だでこんなに綺麗なんだわね」


いつもそうだった。

"綺麗だね"って、何度も何度も褒めてくれたね。


「お母さんも、昔は髪の毛長かったんだよ。腰くらいまであってね、よく三つ編みしたんだよ」


隣通しに布団を敷き、眠りにつく間際。

おばあちゃんは、昔話を聞かせてくれた。


なんて事ない話だったり、おじいちゃんが生きてた時の話、お母さんの子供の頃の話。


眠たい目をこすりながら、私は"うん、うん"と相槌をうつ。
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