ドナリィンの恋
 ドナはあらたまって佑麻に向き合い言った。
「What do you wanna be someday ? (佑麻は、何になるの?)」
「As of now, I don’t have any idea. I don’t have to hurry. I'm young and still have a lot of time. Anyway, I’m sure I can be what I wanna be.
( 別に今は、特になりたいものなんて考えてないな。でもまだ若いし、ゆっくり考えても間に合うと思うけどね。)」
「The same as what you are now, Nothing…
(何にでもなれると思っているうちは、何にもなっていないと同じことよ。)」
 言い投げられたドナの言葉に、佑麻は後ろめたさを感じて、返事をせずに遠い雲へと視線を移した。

 ゆっくりと食後の休憩を取ったのち、二人は車を飛ばして、いよいよ目的地のワイナリーに到着した。来場者は一度広場に集合させられて、ガイドから簡単な説明を受ける。早口の日本語なので、佑麻はドナに逐一説明し直した。説明のあとは、ガイドツアーのスタート。ワイン作りの歴史館から、昔の貯蔵庫、ぶどう果樹園、そしてワイン醸造の化学ラボラトリーと続く。もともとドナはワイン好きだったので、どれも興味深く見学していた。最後は彼女お待ちかねのテイスティング。多くの種類のどれもが無料なので、ドナはワングラスずつすべての種類のワインをテイストし始める。
「おい、飲み過ぎじゃないか。And yet, you’re under age and not allowed to drink alcohol.(しかもドナはまだ未成年だろう。)」
 運転があるので飲めない佑麻がすねて言った。
「Sad to say , In the Philippines, At 16 , we began to plan and think our future. And we are already adult at 18. So you don’t have to bother.
(残念ながら、日本と違ってフィリピーナは、16歳で人生を考え、18歳で成人するの。構わないでくれる。)」
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