黒王子は不器用な騎士様!?



『黒王子の何がそんなに不満?』

「――すべて。」


親友の問いかけに、瞬時にそう答えた。

全ては全てだ。黒王子の全てに対して気が重くなる。


『こりゃ…黒王子も相当嫌われてんな…』

「当たり前でしょ。あんな性格しといて嫌われない方がどうかしてる。」


例え嫌われずにここまで生きて来れたなら、それはすべて黒王子のあの端正すぎる容姿のおかげというヤツだろう。

…だけど、私はそんなものに騙されたりしない。

“美人より美心”と、小さいころからおじいちゃんに教え込まれた私に、黒王子の色仕掛けなんて通用しないんだから!


『…だけど、この前の薔薇園でのこと、許してくれたんでしょ?黒王子』

「……そうだけど。」

『ほら、黒王子も優しいとこあるじゃん?』

「っ、違うよ!」


何だか的外れな方向へと物事を捉えようとしている親友の考えを変えようと、ガバッと起き上がった私は明日香の肩を掴んだ。


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