黒王子は不器用な騎士様!?



「そ、そんないきなり言われてもっ」

『日曜空いてるなら問題ねーだろ。』

「そうだけど、いや、そうじゃなくてッ!」


ああ?と凄んでくる黒王子に、私のチキンな心臓はドキドキドキと細かな拍動を起こす。

そんなに睨まないでよ…イケメンに睨まれると心が痛いんだってば…。

これでも私は女子なのだから、格好良い人には笑顔で接してもらいたいわけで、欲を言うと、優しくしてもらいたいわけで。

……やっぱりこの人、苦手だわ…。と、極論に至った。


『日曜の午前10時。○○駅前集合……ぜってー来いよ。』

「えっ、ちょっとまッ――!」


バタンッ


私の横を素通りしたと思ったら、私の制止の声も聞かずに生徒会室を出て行って、大きな音を立ててドアを閉ざして行ってしまった黒王子。

……つくづく強引な男だ。

そして無愛想で冷酷。

一度も笑わなかったし、言い方は乱暴だし、人をバカにする傾向があるようだし。


――それに何より、アイツと2人で薔薇園なんて……


「…逃げてぇ。」


ただただそう思った。




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