黒王子は不器用な騎士様!?



――『黒王子から薔薇園デートに誘われたぁっ!?』

「ちょっ――明日香、声がデカいッ」


昼休み。

朝、生徒会室から教室に戻ってきた私はクラスメイトの女子達に、黒王子のことで囲まれて、明日香と全然話すことができなかったため、ようやく王子ファンの女子達が大人しくなってくれた昼休み、お弁当を食べながら朝のことを話した。

いくら昼休みで教室内が騒々しいとはいえ、透き通った声をしている明日香の声はよく響く。

おかげでクラス中の視線が一気に私達に向いた。

あははーと苦笑いを周りに向けると、また騒がしくなったとこを見て、明日香の言葉までは聞かれていなかったらしい。

その事実に安堵する私。

クラスの女子達には、黒王子とは曲がり角でぶつかってその謝罪をしてただけとしか話していないため、今週の日曜の件を知られるわけにはいかないのだ。


「…っていうか、デートじゃないし。」

『2人きりで行くんでしょ?デートじゃないの!』


いや、確かに世間的にみるとそうかもしれないけどさー!

そんな気分をさらに重くするようなこと言わないでよー…。

今日一日、私は今週の日曜のことを思って憂鬱な気分のままだった。



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