黒王子は不器用な騎士様!?
『…それにしても、昨日遥がぶつかった相手があの黒王子だったとはねぇ~。』
卵焼きを食べながら、明日香は物憂げにそう言った。
……確かに。
私も、その事実を知ったときは驚きましたよ。
『何でぶつかった時に黒王子だって分からなかったのよ?』
「いや、だってあそこまで性格が捻くれてるとは思わないじゃん…?」
黒王子が相当な無愛想だってことは明日香から聞いてたけど、あそこまで人を小馬鹿にするような性格だとは思わないじゃないか。
それに、あの時はまだ黒王子の顔も知らなかったわけだし。
あんな人のファンになる人の気持ちが知れないわ…。って、明日香も黒王子ファンだったか。
『遥もいつか、黒王子のギャップにヤラれる日が来るわよ。』
「え?」
『私も黒王子の笑った顔、見てみたいなぁ~!』
・・・。
だめだ、こりゃ。
プチトマトを咀嚼しながらまた脳内恋愛の世界へ飛び立っていった明日香を心の中で見送った私は、自分のお弁当に箸を進めた。