黒王子は不器用な騎士様!?



『え!?石川さんも2段なの!?』

「……まぁ。」


私の剣道の段位を聞いて、とても嬉しそうに笑顔を向けてくる船橋先輩。

ああ、嫌な予感しかしない。

絶対、言われる。剣道部に入れって、絶対。


『じゃあ入ってよ!剣道部!石川さんなら、出られない部長の代わりが務まるだろうし!』


……ですよねー…。

言うと思いました。

昨日、剣道部について明日香と話したばかりで、なんてタイムリーなんだ、とまたどうでもいいことを思いつつ、すみません、と断りの意を述べた。


「私、部活には入らないって決めてるんで。」

『え…っ!?』


これ以上の勧誘を受けるのは得策ではないと考えた私は、失礼します、と早々に教室に戻ろうとする。


ガシッ

『ちょっ、ちょっと待って!』


けれど、縋るような声に呼び止められて、腕まで掴まれてしまっては、教室に入ることはできなかった。



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