黒王子は不器用な騎士様!?
っていうか、"ラヴ"って何だ。"ラヴ"って。…そこだけ英語の発音良すぎじゃない?
完全に妄想の異世界に飛び立っていった明日香の横でため息をひとつ、零していると――…
『『『きゃーーーっ!』』』
「??」
開いたままの教室の窓から突然聞こえてきた大きな黄色い声に引き寄せられて、私は視線を教室の黒板から外に見えている校庭へと映した。
そこには、30人はいるだろう登校途中の女子に囲まれた男子2人の姿があった。
軽く芸能人のような扱いをされている彼らを、ただただ私はぼーっと見つめる。
『ちょっと遥、聞いてる?――って、何見てんの?』
その時、やっと妄想世界から現実へと帰ってきた明日香が隣からにょきっと顔を出して、私と同じように騒がしい校庭を見渡した。
『あっ、白王子と黒王子じゃん。』
「白王子と黒王子?」
……何それ、オセロみたい。
最初彼らのことを聞いた時、真面目に私はそう思った。
『えっ、知らないの!?遥!』
「1年に格好良い男子がいるとは聞いたことあったけど…もしかして、あの2人が?」
入学早々騒がれるなんてよっぽどイケメンなんだろうな、としか思っていなかった存在が、まさか2人もいるなんて知らなくて、私は内心とても驚いていた。