黒王子は不器用な騎士様!?



帰り?

卵焼きの最後の一巻きを箸で包みながら脳内で思い出したのは、黒王子に今日のことを誘われた生徒会室でのこと。


"――日曜の午前10時。○○駅前集合。……ぜってー来いよ。"


あいつに言われたのは、これだけ。

……おいおい、私、何も聞いてないじゃん。

薔薇園ってどれくらいお金かかるの?私のお小遣い、5千円で足りる?足りるよね?

ああ、急に全てが不安になってきたよ。


『遥ちゃん?』

「えっ!?…あ、ああ…わ、分かんないけど…、か、帰る時連絡するね!」

『…うん、分かった。師範にもそう伝えとくね。』

「あ、ありがと…!」


二コリ、と爽やかな笑顔を向けてくれた修哉さんに、私もぎこちなさの残ってしまった笑顔を返す。

今日一日のおじいちゃんのお世話は修哉さんに任せて、2人で料理を終えた後、修哉さんと向かい合わせで朝食を食べたのだった。



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