黒王子は不器用な騎士様!?
切り出せるタイミングがあれば聞いてみよう。
……いや、そんなタイミング、普通あるのか?
難易度高めのミッションに早くもテンション急降下中の私に、
『――ふーん。ちゃんと来たんだ?』
「っ、」
斜め後ろからかかった低めの声。
肩をビクリと反動で飛び跳ねさせた私が、勢いよく振り向いた先には、私服姿の黒王子が私をじっと見下ろしていた。
ジーパンにインナーシャツ、その上にパーカーを羽織って、何ともラフな格好をしているが、それでも人様以上に格好良く着こなしているのだから、数秒見つめてしまうのは仕方がないと思う。
『…こっち見んな。』
「すみません…。」
言うと思った。
会って早々、ご機嫌ナナメな雰囲気を醸し出す黒王子から、そろりと視線をそらした。
別に好きで見つめてたわけじゃないし。不可抗力だし。
自分でもワケの分からないことを心の中で吐き出しつつ、早くもこの状況をどうしたらいいのか分からなくなった。