黒王子は不器用な騎士様!?
そこには私達の方向へ走ってやってくる白王子と、花柄のワンピースにカーディガンを羽織った女の子の姿。
遠目でもわかる可愛らしい風体の女の子は、白王子の後ろで、"颯太速すぎ…!ちょっと待ってぇーっ"なんて甲高い声で言っている。
……誰。
ってか、この状況は、何。
ワケが分からない私は、私達の元に辿り着いて息をゼェハァ言わせながら整えている、目の前の2人を呆然と見つめることしかできなかった。
『――おっせぇ。』
まず最初に口を開いたのは、意外にも黒王子だった。
『ゴメン、ゴメン!…栞奈の準備が遅れちゃってさ。』
『なっ…!颯太も寝坊したくせに!』
『それは栞奈もでしょ?』
何を~!?なんて言って、頬を赤く染めている女の子は、休日だからか髪の毛を内巻きにくるくると巻いて、化粧もしていて、いかにもデート仕様の格好だった。
髪の手入れも化粧っ気もない私なんかと大違い。
デートっぽさが出るのが嫌で避けたワンピースも着てるし、本当にこの子は一体誰なのだろう。
それに、なんで白王子がここにいるの?