黒王子は不器用な騎士様!?
『んー。まぁまぁかな。』
……はぁ?
私が撮った写真を早速見直した河上さんは、少し気に入らないような表情を一瞬だけ見せた。
じゃあ、私に頼むなよ。
心の中では、河上さんへの不満が絶賛沸騰中だ。
私はアンタの召使いじゃない、とか、自撮りすればよかったんじゃん、とか、河上さんに言いたいことは沢山あるのに、それを正直に言うことなんて出来ない。
これは憶測だけど、河上さんは自分のあらゆる女の武器で男を虜にして、気に入らない相手を男を使って揖斐(いび)ってくるタイプの人だろう。
自分からは何もせず、自分の思うがままに男を操る魔性の女。
このメンバーの中で、知り合い期間が極端に短いのは私だけ。
ここで私が河上さんに突っかかって、もし河上さんが女の武器である涙を最大活用してくれば、あの王子2人は絶対河上さんをフォローするに決まってる。
河上さんのイジらしい泣き姿を見せて、河上さんの懇願するような甘えるような声で放たれた悲痛な言葉を聞かせて、私を悪者だと王子2人に思い込ませて。
よくも知らない私の言葉より、昔から一緒にいる河上さんの言葉を、王子2人が信じることなんて、目に見えている。
自分から、そんな見え透いた罠にかかるようなこと、したくない。