柊が2人の合言葉♡

この気持ちは・・・? 柊花side

「他界しました・・・。」
気づけばそう口から言葉が出ていた。
これ以上耐えられなかった。
柊夜のあんなふうに苦しそうで、なおかつ、さみしそうな顔はもう見たくなかったから・・・。
「菜摘ちゃんは元気です。おじさんは数年前に他界しました。
妙絵さんは・・・お元気でしたか?仕事とかは・・・?」
妙絵(たえ)さんとは柊夜のお母さん・・・。今は過去形で、お母さんだった。なのかもしれないが・・・。
「あ、尚樹が・・・た、他界・・・。そ、うなの・・・久しぶりね柊花ちゃん。身長も伸びて・・・大人っぽくなったわね。私は元気にしてたわ・・・。仕事は銀行で働いているの。」
妙絵さんの声は昔と変わらず凛とした綺麗な声。でも、尚樹さんが他界したと聞いて動揺しているのか・・・。声が震えている。
が、それでいて、ふわふわした感じがするのに、すらっとしたスタイルは、うちの母と年が到底同じとは思えない。
「夏華と桔平は元気?」
夏華(なつか)というのはうちのお母さん。
桔平(きっぺい)というのはうちのお父さん。
柊夜の両親とあたしの両親の4人も元々幼なじみで、ずっと一緒に過ごしたんだって。それで、結婚したというわけだ。
「はい。元気で・・・」
「あら・・・?妙・・・絵?妙絵じゃない・・・?今までどこでなにしてたの!?尚樹もずっと心配してたのよ!?」
『はい。元気でしたよ』と言おうとしたあたしの話を遮って、あたしの後ろから現れたのは、あたしのお母さん。
学園祭に遊びに来ていたらしい。
尚樹(なおき)というのは柊夜のお父さん。
「夏・・・華。久しぶり・・・。元気にしてた?驚かせてごめんね。」
さっきの凛とした綺麗な声とは違って少し寂しそうな声だった。
「まぁ、いいわ。今から時間ある?喫茶店でお茶しない?」
「えぇ。今までのこと全部話すわ。」
そう言ってあたしのお母さんと柊夜のお母さん・・・。はうちのクラスを出ていった。
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