【反省は】玉の輿なのにやらかした件。【していない。】

「尋問は終わりです。行っていいですよ」

「お許しをいただけるのですか、巫女さま」

 景久さんの色素の薄い瞳には、いたずらっぽい光が輝いている。

 婚儀の夜は確実に私と景久さんの関係を変えた。
 やることをやればよほどの冷血漢でも無い限り、誰だって情がわく。私は早くも景久さんに甘くなっている。

 私ってダメな女だなぁ。


「許しちゃいません、ツケにしておきます」

「感謝します」

 彼はまるで中世ヨーロッパの騎士のように少し芝居がかった仕草で私に一礼して出て行った。まじめそうに見えて、案外冗談好きな男である。まあ、その笑いのツボは私のそれとは大きくかけ離れているようだけれど。

 私は呆れ半分、眠くて面倒くさい半分の投げやりな気持ちで自分の寝室に向かった。


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