涙が枯れる日 Ⅰ【完】
「桜花を返せよ」
綺麗な男ははっきりと言った
あれ………?私この声聞いたことある
凛としていて、低音が綺麗な声
遥斗だ…………
「無理だ」
男がニヤっと笑って立った
そしたら遥斗は顔色を変えた
「てめぇー!桜花に何しやがった!!!」
あ………もしかして今の私の格好を見て怒ってくれてるのかな?
「別に、襲って――――」
男が喋っていた言葉を言う前に遥斗が男を蹴り飛ばした
は、遥斗って喧嘩できるんだ〜
って、そんな事に感心してるばーいじゃないでしょ!
「桜花!大丈夫か?」
「うん、遥斗が来てくれたおかげで助かった」
私が笑ってお礼を言うと遥斗は微妙に顔を赤くした
きっと気のせいだよね
「そうか。でもこれ着とけ」
そう言われて遥斗の着ていたパーカーを私に着せた
「あ、ありがとう」
きっと今の私は顔が赤いと思う
「て、てめぇー何もんだ!」
男は叫んだ
「誰だと思うよ」
遥斗は余裕ありげに笑った
「天龍のもんか!」
「橘組の若頭だ」