涙が枯れる日 Ⅰ【完】
その後すぐに遥斗が来た
「桜花、どうした?」
何でか分からないけど遥斗を見たら泣きそうになった
それを隠すように俯くと
――――ホワッ
柑橘系の香りに包まれた………
「泣け……泣きたい時は泣け……」
私はその言葉を聞いた途端止まったはずの涙がどんどんと溢れ出てきた
「…………ぅ………」
遥斗は私が泣いている間ずっと子供をあやす様に頭をポンポンしてくれていた
「遥斗………あのね」
「あぁ」
「つかさが……天龍の姫になっちゃった………」
「はっ?」
「天龍が“姫にならないんなら由紀とは別れろ“って言ったの………だからつかさに姫になってもらった」
「私ってほんと嫌な奴……」
「私が行ってって言っといて、こんなに泣いてる………」
「つかさにはもっと苦しい思いをさせてるのに……」
私が言うと遥斗は
「別にいいじゃねぇーか。お前とお前の友達ならこれからもうまくできる」
と言って私の涙を拭いてくれた
私は嬉しくて自然に笑顔になった
「ありがとう」
「あぁ」
「遥斗………私から離れないで………」
小さな声で言った
「あたりめぇだ。離してって言われても離さねぇよ」
ニカッと笑って言ってくれた