不滅の恋人~君だけを想う~
「意地悪を言わないで」
恥ずかしげに頬を膨らませる友人を横目に、伯爵夫人はまた笑う。
「ふふ、ごめんなさい。けど…よく結婚できたわね。貴方達」
「彼は男爵家の血筋なの」
「あら、それは初耳」
音楽家といえば、たいていが労働者階級であり一般市民だ。
伯爵令嬢のフローラには釣り合わない。
が、レオンハルト・フォン・ファルケンハインはドイツ出身の男爵。
身分を気にするフローラの両親も結婚を了承してくれた。
「で、晴れてファルケンハイン男爵夫人になって、どう?」
「どうって…?」
首を傾げるフローラの耳に夫人はそっと囁いた。
「夜の営みよ。ちゃんと満足できてるの?」
「なっ…!?」
フローラが真っ赤になった時、丁度レオンハルトの演奏が終わった。