不滅の恋人~君だけを想う~
曲の第一印象は「まるでサーカス」だった。
明るい曲調なのにどこか暗い響きがこめられ、おどけた調子。
そして何よりサーカス的なのは、その演奏技術。
「手が……四つに見える」
瞬間移動する両手は高い位置、低い位置を行き来して三つになったり四つになったり。
指先の動きなど早過ぎてわけがわからない。
引っ切りなしに動いていて指がつらないのだろうかと心配になってくる。
圧倒されつつチラリと彼の表情をうかがえば、余裕そうに口角を上げていた。
「すごい…」
レオンハルトとは全く異なるピアニスト。
旋律の面白さ、スピードを見せつける派手な演奏法。
フローラがジュラの魅力に惹かれるのに時間はかからなかった。