不滅の恋人~君だけを想う~
リサイタル
そして数日後、頑張ったご褒美として許可をもらったフローラ。
レオンハルトと一緒にジュラのリサイタルへ赴いた。
「聴きたくないならわざわざ来なくても良かったのに…」
隣の席でムスッとしている夫に呟けば、彼は軽い溜息を吐いた。
「貴女を一人で行かせるわけにはいきません。それと、敵情視察です」
ライバルであるジュラの情報を知っておいて損はない、ということらしい。
フローラはちょっぴり呆れてから、自分は純粋に楽しもうと決めた。
そして、始まったリサイタル。
ステージには三台のピアノが並べられ、ジュラはその中の一台に腰掛ける。
「一人で弾くのに、三台も必要なのかしら?」
「激しい演奏をすると、途中で弦が切れてしまうんです。予備の二台ですよ」
聞けばレオンハルトもちょくちょく弦を切ってしまうとのこと。
成る程と納得したところで曲が始まった。