不滅の恋人~君だけを想う~
「伯爵夫人から俺のファンだって聞いたんだけど、本当?」
「ええ。貴方の曲はとても楽しいわ。いいえ、楽しいだけじゃないわね。タランテラの後半はとても綺麗で、感動したわ。私のお気に入り」
「気に入ってくれたの?ふふ、ありがとう。あの後半は今イタリアで流行ってるカンツォーネをモチーフにしたんだ。俺も大好きなんだよね」
無邪気な少年のように音楽を語るジュラ。
なんだか可愛くてクスリと笑みが零れる。
「そうだ、この前のリサイタルで最後に弾いたギャロップ。大成功だったのに、どうしてあんな顔をしていたの?」
「あんな顔…?」
首を傾げるジュラにフローラはハッキリ言ってやった。
「ちっとも嬉しそうじゃなかったの。とても…悲しそうだったわ」