不滅の恋人~君だけを想う~
ジュラの奏でる音色を聴きながらフローラは先程彼が言いかけた続きを考えた。
(実は…何かしら?人前での演奏が苦手、とか?そんなふうには見えないわよね。うーん……気になるわ)
演奏が終わったら聞いてみようと思ったフローラだったが、その後ジュラは他の招待客と話し込んでしまいチャンスが訪れることはなかった。
そして夜会もお開きとなり、諦めてフローラが席を立とうとした瞬間。
スッと渡された紙切れ。
意味深な笑みを浮かべてジュラがフローラにそれを握らせる。
そのまま立ち去ったジュラを呆気に取られて眺めていたフローラだったが、我に返り慌てて紙切れを見た。
“明日の午前十時、コンコルド広場で”
秘密の逢瀬への誘い。
フローラの胸は高鳴った。
(もっと彼と話してみたい…)
キュッと紙を握り締める。
明日を待ち遠しく思いつつ。