不滅の恋人~君だけを想う~
言われた通り、再び馬車に乗り込むフローラ。
ジュラも隠れるように中へ入ってドアを閉めた。
「テキトーに走らせてくれないかな。俺、なるべく外に出たくないからさ」
「いいけれど…どうして外に出たくないの?」
「追っ掛けのファンがヤバイんだ。見つからないようにここまで来るの、苦労したよ」
帽子を脱ぎながら苦笑いするジュラ。
フローラは街中を適当に走るよう御者に言ってから彼に向き直った。
「これでいいかしら?ジュラ殿」
動き出した馬車の揺れを感じつつ、人懐っこい笑みを浮かべてジュラはフローラを見つめた。
「うん、ありがとう。それから、ジュラでいいよ。気楽に呼んで」
「わかったわ。ねえ、ジュラ。どうして私にあのような紙を?」
不思議に思っていたことを問えば、ジュラは照れたように頬をかいた。
「あ~…君と、もっとゆっくり話してみたくてさ。昨日はあんまり話せなかったから」