不滅の恋人~君だけを想う~
「無料!?」
「そ。これ、俺のポリシーね」
「どうして無料なの?教師として労働してるのに貴方に何も報酬がないなんておかしいわ!」
ジュラのためを思い理不尽を訴えたフローラ。
するとジュラはそれを否定せずに苦笑した。
「確かにね。君の言葉は正論だよ。けどさ、有料にしたら労働者階級の子はピアノを習いたくても習えなくなっちゃうんだよね」
ジュラの表情から笑みが消える。
「貴族や上流家庭の子と違って彼らは貧しいから、高いレッスン料は払えない。けど、だからって音楽を諦めるのは間違ってると俺は思うんだ」
彼は真剣な瞳で続けた。
「俺の祖国ハンガリーでも結構いたんだよね。バカ高いレッスン料が払えないからピアノ諦めたやつ。もしかしたらスッゴい才能が眠ってるかもしれないのにさ。スタート地点にも立てない子供は大勢いるんだ」
そしてジュラは晴れ渡った青空みたいに微笑んだ。
「だから俺は、習いたいっていう子供達の意志を尊重してる。レッスンを無料にすることでね」