不滅の恋人~君だけを想う~
「その甘さの中にも鋭いナイフを隠し持ってるんだよね、彼は。いきなり大胆に転調したり、音を自由に切り替えて遊んでみたり。センスが良いんだ」
楽しそうにジュラは続ける。
「特にワルツやノクターンのテンポ・ルバートはマジでヤバイ。繊細過ぎて俺、たぶん真似できない」
指を動かして弾く真似をしながら話すジュラ。
ふと彼の指に目をやったフローラは、気になったことを口に出した。
「貴方の指って、とても長いのね」
「え、そう?」
「そうよ。私の指と比べてみて。貴方の凄さがわかるから」
互いの手の平を合わせて指の長さを確かめる。
「うわ、ホントだ。君の手って小さいね」
「貴方が普通サイズより大きいのよ。こんなに長いんじゃオクターブ以上とどくでしょ?」