不滅の恋人~君だけを想う~
「ダメ、なの…。私は、人妻で…」
「ん?何?夫がいるの?いいね。余計燃える」
蕩けるような微笑みを武器に迫ってはキスで誘惑を仕掛けるジュラ。
涙目になりながらも徐々に陥落していくフローラ。
背中がのけ反り、身体中の力が抜けていく。
「おっと…大丈夫?」
くたりとなったフローラの首を支えて身体を起き上がらせる。
「今日はキスまでで我慢してあげる。手が早いとか思われたくないしね」
充分早いと思ったフローラだが、息を整えるのに精一杯で口に出して言えなかった。
「そろそろ降りるよ。どこか路地に入ってくれないかな」
「もう…?」
キスは勘弁して欲しいがお喋りの時間が終わってしまうのは寂しい。
名残惜しげにジュラを見上げれば、彼は困ったように笑った。
「これ以上密室で二人きりとか、ヤバイから。俺の理性がね、色々と」
ということで、大通りから外れた人通りの少ない小路で馬車を停めさせた。
「短かったけど話せて楽しかったよ。じゃあ、またね」
チュッとフローラの頬にキスをしてから立ち去るジュラ。
窓から彼の後ろ姿を見送り、フローラは溜息を零した。
「……軽そうな人」
呟いた声は嫉妬した女のようだった。