不滅の恋人~君だけを想う~

それからすぐジュラがサロンに入室してきた。

「お招きありがとう。また会えて嬉しいよ」

演奏の前の歓談のひと時。

ジュラが主催者であるフローラに近寄って挨拶をする。

「こちらこそ、来てくれてありがとう」

「来るっきゃないでしょ。可愛い君のご命令とあらばね」

綺麗にウインクをすると、ジュラは急に声を低めた。

「……ところでさ。ここはレオンハルト・フォン・ファルケンハインの屋敷だよね?もしかして、君の夫って…」

「そう…。彼よ」

部屋の隅にいるレオンハルトへ二人同時に目をやる。

「うわ、ヤバーイ。君の旦那さんが俺のことめっちゃ睨んでる」

清んだ青い瞳でジュラをジッと見つめるレオンハルト。

「これじゃあ君にキスもできないね」

耳元で囁けばフローラは頬を赤らめた。

「し、しなくていいわ!」

「えー?挨拶のキスも?それはないでしょ」

至って紳士的にフローラの手を取り、甲に口づけるジュラ。

「さて、サロンの女神のために俺は何を奏でようか。リクエストはある?」

「何でもいいの?」

「うん。俺に弾けない曲はないからね」

ピアノの前に座りながら彼が笑った時だった。


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