不滅の恋人~君だけを想う~
「ちょっと前に俺の祖国ハンガリーで洪水があってさ。被害が酷い町や村が結構あるのに資金が足りなくて復興が遅れてるらしいから、チケット代の売り上げを全額送るんだ」
祖国を想うジュラの気持ち。
レオンハルトもドイツからパリへ出て来ているため、異国にいながらも祖国のために何かしたい気持ちは理解できた。
たまには慈善活動に参加するのも有りかと考えながら、ふと気になったことを尋ねる。
「ちなみに、チケットはいくらで売るつもりなんですか?」
「一枚40フラン」
「40!?そんな高額にして人が集まると本気で思っているんですか!?オペラ座の一番ランクが高い座席でさえ、せいぜい10フランなのに…!」
呆れ返るレオンハルト。
しかし、ジュラは不敵にニヤリと笑った。
「集まるさ。パリのヴィルトゥオーソ達が一堂に会するんだ。上流階級の音楽愛好家なら、こんなオイシイ夢の共演を絶対に見逃すはずはない!」